STORY
創業期の姿が見えてくる?!
「セメダインB」の
謎を追え。
古民家で発見された発売当時のセメダインC
2020年、セメダイン全社を揺るがす驚きの情報がSNSに投稿されました。なんと、セメダインの原点である約80年前の「セメダインC」が古民家から発見されたというのです。
古民家から発見された約80年前の「セメダインC」
さらには、別の場所から社内でも謎に包まれていた幻の「セメダインB」に加え、創業時に最大のライバルであったイギリス製の接着剤「メンダイン」までもが発見されます。
幻の「セメダインB」
最大のライバルであったイギリス製の接着剤「メンダイン」
その数か月後には、戦時中の物資不足による影響で鉛チューブの入手が困難な時代に販売されていたという、ビン入りの「セメダインC・B」もまた見つかったのです。
ビン入りの「セメダインB」
発見した方々はそれらをセメダインに快く寄贈してくださり、初めて現物にふれた従業員たちは大きな感動と興奮に包まれました。ところがこの世紀の発見は、従業員たちに新たな疑問を投げかけたのです。
長らく語り継がれていた創業当時の通説
創業者である今村善次郎がイギリス製の接着剤「メンダイン」を目指して、「にかわ」を主原料とする初の国産接着剤を開発したのは1923年(大正12年)のこと。その4年後、パッケージにカラフルなデザインを施した工作用・事務用に販売されたのが「セメダインA」でした。そして、Aを改良しミルクカゼインを原料として開発したのが「セメダインB」、その後ついに日本初となる合成接着剤「セメダインC」が完成し、大ヒットになった…。
商品の歴史について現役社員はこのように教えられていますが、Bに関する情報は社史に記載されているたった1行の文字のみ。存在自体が疑われるほど謎に包まれた接着剤とされていました。
明らかになった開発の歩みと新たな謎
ところが実際の現物が発見され、Bのパッケージには「用途:金属、ゴム、皮…」と記載があったことからゴム系接着剤であることが明らかになりました。つまり「セメダインB」はミルクカゼインを原料として開発されたものではなく、ゴム系接着剤が「セメダインB」だったのです。
しかし、ここで新たな疑問が浮かび上がります。そもそも「セメダインC」が発売されたのは1938年(昭和13年)。50周年史をあらためて調べると、「1940年(昭和15年)にゴム系接着剤を開発。一般用を『セメダインB』の商品名で販売」という記述が残っていました。とすると、「A→B→C」の順で開発されたのではなく「A→C→B」の順で開発されたことになります。
では、アルファベットの符号は何を意味するのか。さまざまな推測がされていますが、その謎は深まるばかり。「セメダインB」に関する調査は今なお行われています。